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【2】  2001年 5月30日〜6月20日
     誕生日のこと・キウイソース・醤油・お好み焼き・関西と関東・好き嫌いの話


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       常時更新、連続エッセイ

 人生、食べるが勝ち! 

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2001年 5月30日

バタバタしてるうちに、更新が滞るだけでなく、年までとってしまった。
誕生日を嬉しがってられない年齢になって久しいが、
それでもなお私は、出来る限り自分の誕生日を喜ぼうと決めている。
生きている時間とともに、確実に得るものが増えているはずだからだ。
時間の重なりは、何物にも代え難い価値があると信じたい。
さて、誕生日をウカレ気分で過ごすため、ウチでは幼い頃からいろんな習慣があった。
ひとつは、夕食のパーティーメニューを好きに決められる権利を得ること。
べつにいつでも意見は通るが、この日は“ちょっとお高い食材”も購入OKだ。
そのうえ、栄養的にすごい偏りがあっても、非常識なほど大量のおかずになってもOK。
コトコトと3昼夜かけて煮込むおかずでもOK。とにかくなんでもOK!
自分の誕生日が近付くと、最低でも10日前ぐらいからはメニュー検討に入る。
私の場合、「未知の各国料理シリーズ」がここ何年か続いているので、
まず料理の本から買わねばならない。
何軒も本屋を巡り、やっとお目当ての本を手に入れたら、次は献立を決める。
それから、メモに材料を書き出す。
この材料集めがまた大変。各国の調味料を扱っている店探しから始めるのだから。
そして当日、家族総出で夕食作りだ。
よりによって中近東料理に決定した日にゃぁ、見たことのない料理作りに、みなテンテコ舞い。
何時間もかけて、テーブル一杯に皿が並ぶと、用意しておいたお気に入りのワインが登場する。
ここで、記念撮影。といっても、料理を撮るだけ。
これだけ気合いを入れたのだから、写真ぐらい残したい気になるのも当然だ。
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2001年 5月31日

撮影が済んだら、ワインのコルクを抜き、グラスに注いで乾杯!
気合いイッパイに作った料理は、その出来具合いに関係なく、すこぶるウマイ。
“ちょっとお高い食材”と言っても、思いっきり“庶民”である我が家のレベルだから、
「パスタにかけるチーズ、思い切って1パック1000円のパルメジャーノ・レッジャーノにしよっか〜!」てな、
かわいいモンなのである。
そういうことで喜べるのも才能のひとつだと、勝手な解釈をして、また喜んでいる私だ。
高級レストランでディナーっていう誕生パーティーも素敵だが、
金のかからないわりに、やたら楽しいこんな夕食タイムも、私は相当に気に入っている。
さて、我が家のパーティーはまだまだ終わらない。
次はケーキだ!
私、ケーキ作りがまた大好きときた。
一番凝っていた時期など、デザインスケッチから始めたものだ。
クリームの絞り出し口も、そのデザインに合わせて買いに行く。
デコレーションもだんだん正当な路線を外れてきて、
お菓子売り場で「き○この山」とか「たけ○この里」とかを買い、たけのこの生えたケーキにしたり……。
これをオリジナルと呼んでいいのか?……という疑問も湧いてくるが、いいのいいの!
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2001年 6月1日

そんなワケで、またかなりの時間をかけてケーキと格闘し、完成したらまたまたパーティー開始。
ま、2次会みたいなものか。
部屋を真っ暗にして、ロウソクを点け、まずは司会担当者による「開会宣言」。
そして♪はっぴばぁすでぇ〜♪と合唱して、ロウソクを消して、ケーキ入刀して……と、
なかなか本格的なのだ。
私の幼い頃は、たいして部屋数もないのに、わざわざ会場を変えて飾り付けをしたり、
招待状を配っておいて“受付”で半券を切り取るパフォーマンスをやってみたり、
宝探し方式のプレゼント贈呈なんかも実施して、本当にウカレていたものだ。
その後、兄のギターに合わせて全員で歌を歌ったりする(しかもハモったりする)という、
ファミリードラマもまっつぁおな宴もたけなわ、大騒ぎ。
「近所迷惑になるし、そろそろ寝よか」という、ちょっとズレた理由により、日付が変わるころに閉会する。
まー、そういう家庭で育って、こんな人間が出来てしまった次第であるスンマヘン。
しかしながら、こんなふうに「とにかく楽しくて仕方がない」という時間を持つことが出来た私は、
本当に宝くじにでも当たったようなラッキー人間かも知れない、としみじみ思うのだ。
とくに私は、こうして「食べ物」を通していろんな楽しみを知った。
それが一番いい事だ、とは思っていない。人間の幸福感も価値観も、人それぞれだ。
けれども現代の、受験勉強のための塾通いに追われる子供達を見ると、
やっぱり「いいのかなぁ……?」と感じてしまうのが、正直な気持ちである。
心の底から「楽しい!」と感じる時間を、子供達みんなが持てるように、願わざるを得ない。
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2001年 6月2日

……つい真剣になってしまった。
でもほんとに料理ってのは、食べるのも作るのも楽しいほうが美味しい。
できれば誰かと一緒にあーだこーだ言いながらワイワイ作って、いっぱいお喋りしながら食べたい。
でも、唾とばしちゃヤーよ。
ではではここで、十数年前の誕生日パーティーで試してからすっかり気に入った、
「キウイソース」をご紹介しよう。
…と言っても、そんな大げさなモンじゃぁない。
キウイを裏ごしして、チョイと手を加えるだけの簡単ソースで、応用も幅広いから便利なのだ。
手の加え方としては、例えば焼いた鶏肉に添えるなら、白ワインとコンソメでのばして、塩、コショウで仕上げる。
白身の魚や野菜に合わせる時は、フレンチドレッシングで割ってさっぱり味に。
ハーブも好みで加えよう。
キウイのやさしい酸味と、あのさわやかな甘みは、じつにいろんな食材に似合う。
そのうえ、白い皿に敷くと、淡い黄緑色が見た目にも麗しく、種のツブツブもアクセントになる。
そんな変わったモノではないと思うけど、ご存じない方は、ぜひ気軽にお試しあれ!
まぁ、このコーナーを読んで下さったお優しい方々に、チョットでもメリットを感じていただけるといいなぁ…なんて思って書いてみたんですが、
こんなんじゃぁ役に立たないかも知れませんね〜。
また考えときまーっす。
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2001年 6月3日

ソースというと、私はいわゆる日本で「ソース」と呼ぶあのソースをあんまり使わない派だ。
と言っても、決してキライではない。
目玉焼きにとんかつソースをかけて食べるのなんか、大好きだ。
野菜の甘さが溶け込んだウスターソースも大変おいしい。
ソースのいわば「たまり」である「どろソース」も好き。
しかし、醤油好きの家族の影響で、普段はかなり醤油味料理が多い。
焼きそば、焼きうどん、焼きめし、トンカツや海老フライなど揚げもの、お好み焼き、たこ焼き、etc……。
すべて基本的に醤油で食べる。
ソースは「ソース味」として楽しめるが、醤油の場合は、材料の味が明らかに表に出る。
善し悪しではなくて、時と場合と各人の好みによりけりだ。
ということで、私が特に気に入っているものをご紹介。
それは、お好み焼きを「魚醤&マヨネーズ」で食べるヴァージョン!
魚醤は、ニョクマムでもナムプラーでもいしるでも、何でもいい。
塩分がキツイので、ポトリ、ポトリとお好み焼きに落とし、マヨネーズを添えて食べる……、
これが病みつきの味なのだ!
魚醤のクセが苦手な方は、最初は普通の醤油と半々ぐらいで割って使うといい。
すぐ慣れるハズ。
(魚醤そのものがどうしてもダメ!という方は、ダシやスープ類の味付けとして2,3滴落とすことから始めてみよう!いちばんクセを感じずに匂いに慣れる食べ方だと私は思う。)
もちろん、たこ焼きもコレに限るゼ!!
そう言いつつも、じつは私、お好み焼きにはチョット凝っててですね、
いくつかの焼き方によって、それぞれに合わせる好みの味ってのがあるんですね。
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2001年 6月4日

お好み焼きを普通に焼き、最後にネギをのせるのが今のお気に入りだ。
ネギはタップリ刻んでおき、鉄板で熱しておいたゴマ油でジュッと軽く炒めてからのせる。
こうすると俄然、醤油に合う!
ほかに、ちょっと前にすっかりハマッていたやり方が、卵半熟仕上げだ。
まず、生地と具を混ぜない方式(重ねていくやり方ネ)でお好み焼きを焼いたら、
最後に溶き卵をまんべんなく回し掛け、蓋をして、しばし蒸す。
卵が半熟状態になったら、トンカツソース&マヨネーズ&ケチャップのミックスソースで食べる。
これはウチで勝手に考えた。
美味しいよ!
ほかにもいろんなヴァージョンがあるが、いちいち考えながら作れるところが、
まさに「“お好み”焼き」たる所以なのだろう。
そういえば以前、とある「巷で人気のお好み焼き店」で、アサリ&バターっていうメニューがあったが、
なかなか美味しそうだった。
白ワインに合いそうな気配もあるゾ。
残念ながら食べてないので、どなたか試してみておくんなさいまし。
たこ焼きなら、牛肉ミンチ&チーズ入りに魚醤&マヨネーズってのがなかなか良い。
そうそう、チョコレートは入れない方がいいですよ。……って、誰も入れないか。
一回、友達とたこ焼きパーティーをやった時、チョコ入りを作ってみたのだが、マズかった。
生地をお菓子風にアレンジすれば良かったんだろうな……。
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2001年 6月5日

ついでに、お気に入りの焼きそばもご紹介しておこう。
醤油味で作ることが一番多いのだが、たまに変化が欲しくなる。
そんな時は、「カレケチャ」。
ソース味に、カレー粉とケチャップを加えた味付けをこう呼んでいる。なんて適当な……。
よく無国籍料理店などで「タイ風焼きそば」などという名で出されているものに近い。
カレー粉とケチャップの割合によって印象もかなり変わるので、お好みで。
この味付けの時、ちょっと香ばしいぐらいに焼くのがポイントだ。
味を整えてから、しばらく混ぜずにジーッと焼く。
水分も飛んで、コテコテになったら出来上がり!
そんなコテコテはヤダ!!という方には、ハーブ味がおすすめ。
塩味か、顆粒のコンソメなんぞをパラリと足した程度のアッサリ味に仕立て、
お好みのハーブをブレンドしてふんだんに散らす。
コショウもたっぷり。
この場合、具は「シイタケ、モヤシ、ネギ……」という感じより、
タマネギ、ニンジン、シメジ、ニラ、キャベツたっぷりなんて感じのほうが似合うだろう。
これらは、焼きうどんでも応用可。
まぁ、焼きそばや焼きうどんなんかは、どんな味付けでも受け入れてくれるから、
いろいろ試してみたいところだ。
ミソ味とかもいいよネ。
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2001年 6月6日

なんだか味付け話ばっかりになってきたので、チョイと話題転換。
醤油話に戻ろう。
日本の西と東で、醤油の濃さが違うということを、東京に行った時に知った。
関西で薄口を多用する、とか、そういう“濃さ”ではなく、
スタンダードな「濃い口醤油」そのものの“色”が違うようだ。
東京のスーパーで買った大手の醤油は、にごりの入った「黒」に近い色だった。
普段、私が使っている醤油は、透明感のある「茶色」だ。
味もだいぶん違った。
これはかなりカルチャーショックだった。
その濃さは、ちょっと「たまり」をブレンドしたような感じ、というのか。
だから、関東地方の煮物やダシがあのような濃い色合いに仕上がるんだなぁ。
カップラーメンでさえも、東と西ではツユの色がかなり違う、というのは有名な話だ。
関西の醤油は、いくら大量に入れても、あの色合いにはならない。
関西人は言う。「東京でおソバを注文したら、おツユに沈んだおソバが見えへんねんでぇー!!」
関東人は言う。「大阪のソバは、ツユの色が薄くてなんだか頼りなかった!」
京都は大阪以上に色が薄いことも多いので、
私は例に漏れず、東京でおツユに沈んだおソバの姿が見えないことに驚いた一人だ。
地域による違いこそ、文化。
いろんなところにいろんな生活があり、そこからいろんな食が育つ。
ほんとに楽しいものだ。
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2001年 6月7日

昨日の文を読むと、なんかまるで数日前に東京へ行ったみたいだけど、
じつはもう15年以上も前の話でして……エヘヘのヘ〜。
兄が東京暮らしを始めたので、学校の夏休みを利用して、居候しに行ったのだった。
毎年のように兄の暮らしを邪魔しに行っては、東京中をウロウロウロウロしまくった。
普通にスーパーなんかで買い物もして、自炊して、にわか下宿生活を楽しんだものだ。
この“短期東京自炊生活”で、いろいろ発見した。
まず驚いたのは、京都より食材が安いという事実。
ウチの自宅周りはスーパー激戦区で、(ちなみに病院も超激戦区!毎日、救急車が四方八方へ行き交うのだ。)
生鮮食品なんかはかなり安いハズ、と嬉しがっていたのだが、
東京のスーパーの売り場を見回すと、なんとなく全てが一段階ほど安い気がする。
東京は生活費が高くつくと聞くから、食材も高いんだろうって思い込んでいたのだが。
高くつく原因はやっぱり住居費用か。
ま、十何年も前のことだから、現在はどうかわからないけど……。
ちなみに、先日どっかが出したデータでは、牛肉の平均価格がなんということか、
京都が全国で一番高いんだそうな。
オイオイ〜そんなもん一位になったって、な〜んも嬉しないわいさーーー。
えー、ほかにも、さまざまな違いがあった。
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2001年 6月8日

思い浮かぶままに書いてみるが、
そーねー、「カレー」はポークのほうがスタンダードだそうな。
こっちの方では、何も言わんかったらビーフカレーだ。
あまり気にしてなかったぶん、意外に感じた。
「これは困った…」って思ったのは、青ネギがないこと。
万能ネギなどの細ネギ系ではなく、太くて柔らかくて瑞々しい青いネギがない。
私の自宅の周辺は、京野菜の九条ネギがいっぱい生えている
(…って書くと野生みたい?…家がネギに取り囲まれているワケではない。)ところなので、
ネギのあの青い部分を日々常用している。
だから、まったくない、というのは、ちょっと困った。
羨ましいのは、納豆がウマイこと!
関西では軒並み「匂い控えめ」をウリにした納豆が幅を利かせている……
というか、それしかないのだが、
中途半端なことをすると、よけい嫌いになるゾ。
納豆が苦手な人も、
ツトに入った、よぉーーーく発酵熟成したものをイキナリ食べる方が良い。
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2001年 6月9日

なんでそう思っているかというと、ちょうどこの頃(15,6年前)、
ジャスミン茶の茶葉を初めて手に入れた。
その頃は、今ほど中国茶が日本に普及しておらず、
ジャスミン茶というものにもまだ慣れていなかった。
とにかく、そのお茶を飲んでみたが、どうも香水のような匂いに抵抗感がある。
それでも慣れてみようと思い、懲りずに挑戦したが、
どうしても匂いが気になるため、だんだん薄めに煎れるようになっていた。
が、あんまり美味しいと思えない。
そのうちジャスミン茶のことを忘れかけていたのだが、
数ヶ月後、同じ茶葉で違う人がお茶を煎れてくれた。
そのジャスミン茶は、かなり濃かった。
香りが強く、まさにジャスミンの花そのものの匂いが鼻腔いっぱいに広がる。
……美味しい!!
この時初めて“美味しい”、と思ったのだ。
それ以来、中途半端に香りを薄くするのは間違いだという考えになった。
だいたい、「匂い」というものの構造自体、そういうものらしい。
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2001年 6月11日

匂いの成分を科学的に解明してみると、
まったく別物としか思えない匂いが、じつは成分分析してみれば同じ構造だったりするそうだ。
ではどうして全く違う匂いになるのかというと、濃淡の差だとか。
そう言われてみれば、遠い場所から香ってきた匂いが、
そのものに近付くにつれ、思っていたものと全然関係のない香りに変貌することって、確かにある。
「あぁ、いい香り〜」と思い、思いっきり鼻をくっつけて匂いだ途端「クッサ〜〜イ!!」っていう経験、
みなさんもきっとあるでしょ?
つまり、香りの濃淡はもはや“濃淡”という問題ではなく、香りの種別そのものを決定づける要素なのだ。
だから、匂いを薄めて食べたり飲んだりしてはイケナイ!
……と、匂いの話になってしまったが、
そうそう東京の話だった。
あちらではなぜに、生なら「ミンチ」なのに、衣をつけて揚げると「メンチ」に変貌するのだろう?
まぁいいや。
みなさん、掲示板を新設したのでご意見など書いてくださいね〜。
さてもうひとつ、あちこちで「はんぺん」をよく見かけたことが印象的だった。
関西すべてがどうなのかわからないが、京都ではその頃、あんまり「はんぺん」って馴染みがなかった。
今でこそ、スーパーでもどこでも売っているのだが。
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2001年 6月12日

京都では、「はんぺん」より「あんぺい」の方がポピュラーだったように思う。
ちなみに現在は逆だ。
「あんぺい」をあまり見かけなくなった。
ところで、「あんぺい」って京都だけのモノ? 関西のモノ? もっと他の地域にもある??
教えて〜!
はっきり知らないのだが、少なくとも東日本ではたぶんあまりないかと思う。
「はんぺん」よりもプリッとした食感で、「カマボコ」よりも柔らかめのモノである。
その「あんぺい」は、どちらかと言うと食材の中では脇役だ。
しかし当時の東京で、京都の「あんぺい」に匹敵する存在であろう「はんぺん」はと言えば、
なかなかどうして、脇役には甘んじてられねーゼ!とばかり、
あっちこっちに登場しまくっていた。
練り物売り場はもちろん、カツコーナーでは、
トンカツ、メンチカツと並んで「はんぺんチーズカツ」が堂々の三役入り!
思わず買うたっちゅうねん!
あまりにしょっちゅう見かけるので、「はんぺんって東京ではかなり大物クラスかも…?」と、
新鮮な感覚を受けた次第である。
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2001年 6月13日

まー、西と東だけでなく、日本全国津々浦々、食文化っていうのはホントさまざまなもので、
だからこそ面白い。面白くてたまりませ〜んっ!
旅が楽しくてやめられんっちゅうのも、多分にこの要素が含まれているからにほかならない。
でも、虫は……あんまり食べたくないなぁ……。
好き嫌いは言いたくないんだけど。
ところで、皆さんは嫌いな食べ物がおありだろうか?
なんとなく避けているもの、というより、「コレは食べたくないのだっ!」という激しい嫌い方のもの。
私はない……というか、なくなった。(虫以外ね。もうわかったって?)
好きなものはアホみたいにどんどん増えていくのだが、
絶対イヤ!という食べ物は、現在のところまったくない。虫でなければ(もーえーっちゅうねん!)。
じつは子供の頃、納豆ギライだった。
すごくイヤだった。
しかし、今は好きだ。
私は好き嫌いに関して、ひとつの持論がある。
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2001年 6月14日

それは、“嫌いな物ほど「大好き」になる”という説。
嫌いなものには2通りあって、「嫌いになったもの」と「味がイヤなもの」とにほぼ分けられる。
前者は大抵、何かのキッカケでその食べ物を“気持ち悪い”と感じて以来、口に入れられなくなった場合。
これはちょっと、やっかいだ。
このような「トラウマ的気持ち悪い系」は、この持論に当てはまるかどうか、ちょっと自信がない。
この場合の対処法は、催眠術が最適だろう。
気持ち悪くないゾー、と脳に思い込ませるのだ。
でも素人が適当に催眠術をかけるのは危険だそうだから、専門家に相談しよう。
対して「味がイヤ」なのは、絶対に克服できる。
味というのは、思った以上に慣れるものだからである。
いったん味に慣れてしまうと、しめたもの。
今まで「嫌い」と思っていた分だけ、その食べ物に対する意識が普通より高いハズだから、
強く意識することによって、普通レベルを一気に飛び越え、イキナリ「大好き」にまでなってしまう、
……というのが、私が勝手に考えた説だ。
つまり、「大好き」と「大嫌い」とは、意識レベルの高さとして同じなので、
お隣さんへヒョイと飛び移ることが可能なのだ。
これは自分の経験上から練り上げた(?)もので、
納豆ギライの克服ストーリーを根拠としている。
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2001年 6月15日

私の納豆ギライは、さきほどのパターンで言うと「味がイヤ」タイプだった。
幼い私には、どうも馴染めないあの匂い。
しかし我が家では、関西の住人にしてはかなり頻繁に納豆が食卓にのぼっていたのだ。
おそらく東京生まれの父の影響だろう。
ハッキリ言って、納豆など絶対に口にしたくなかったのだが、
「3粒だけでも食べてみぃ」と母に言われ、しぶしぶ納豆に手を伸ばした。
「いち、にぃ、さん」と、正直にほんとに3粒数えて小皿に取り、「いち、にぃ、さん」と一粒ずつ口に運んだ。
ぜんぜんおいしくなかった。
けれども、納豆が登場する度、毎回必ず3粒だけ食べるよう幼いながらも努力したのだ。
本当は母に言われるから仕方なく……だったんだけどね。
しかし何年も繰り返しているうち、次第に5粒になり、8粒、10粒へとじわじわ増やすことが出来た。
そしてある日、決定的な瞬間が訪れたのだ。
それは“3粒食い”を始めてから10年ほどもの年月を経た頃のこと、
ビルの谷間に沈み行く夕日を見ながら、ふと頭に浮かんだ衝撃的な言葉。
「納豆、食べたいなぁ……」
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2001年 6月16日

まったく突然だった。
夕日を見ていたら急に思い浮かんだのだ。
だいたい夕暮れ時というのは、無性に何かが恋しくなったりするものだ。
この日の私は、恋しく思った相手がなぜか「納豆」だった。
理由はまったくわからないが、そう思ったのは事実。
約10年間における“納豆3粒食い”の成果が、ついに今ここに現れたというワケだ。
いつのまにか、イヤでたまらなかった味に慣れ、無意識にでも次第に親しみを覚えていたのかも知れない。
それにも気付かず、自分では相変わらず「キライ」と決めつけていたのだが、
夕日の不思議な魅力が、そのタガを外してくれたのだろう。
惚れるオトコのタイプが年々変化するように、味覚の好みも常に変化しているのだ。
おかげさまで、今ではすっかり納豆好きになった。
それまで「キライだぁ〜!」と特別視していた分、好きになってからもとても気になる存在である。
意識レベルとしては、やはりかなり高い位置にあるのだ。
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2001年 6月17日

このパターンで、「大嫌い」から一気に「大変好きな部類」にまで昇格したのはもうひとつ、
イヤイヤながらもひと切れずつ食べ続けた“白ネギ”。
いずれも、ずっとガマンして食べ続けているうち、ある時から唐突に「好き!」と思ったのだ。
だからもし、好き嫌いを直したいとか、嫌いなモノが多いという方がいらっしゃるなら、
とにかくガマンしてでも味に慣れることをお勧めする。
案外、長年食べていないうちに、自分自身の好みが変わっているかも知れないし、
以前に食べた時がたまたま異常にマズかっただけなのかも知れない。
はたまた、トマトなどのように、昔と今では栽培法の違いや品種改良によって味が変わっているものもあるし、
輸送技術の進歩で本来のおいしさが手に入るようになったものもたくさんある。
調理法によって、まったく印象が違う場合もおおいにあるのだ。
嫌いなモノがないほうが、きっと人生の楽しみも倍増するはず。
さぁー! 今日からとにかく食べてみましょう。
きっといつか、どれも大好きになるだろうから。
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2001年 6月20日

たまに更新が滞る時はたいてい、原稿締切りに追われている、or、旅に出ている。
後者なら優雅で良いのだが、今回は残念ながら前者だ。
…というより、正確に言うと、これから追われるのであったりする…。
お仕事の前に、ひと書き!!

好き嫌いが激しい人の中には、子供の頃の嗜好をそのまんま携えて来た人がいる。
ハンバーグ、カレー、オムライス等が好きで、
その中に入っているニンジン、グリンピース、ピーマンをきっちり避けて皿の片隅に置き去りにする人。
けっこういらっしゃると思うのだが……。
好きなモノは、もちろん何でも構わない。
しかし、ただ「小さい頃からずーっと嫌いなモノを、とにかくすべて無視して今まで生きてきた」という方々は、
おそらくそこに大きな勘違いがあると思うのだ。
本当は嫌いなワケではなくて、その味に慣れる機会を逃しているだけではないだろうか。
子供の頃に「嫌いだ」とリストアップしたものを今、ぜひともゼロに戻してみよう。
そして、第二次性徴期を迎えたつもりで、修行だと思って何度か食べてみて欲しい。
考えてみれば、子供の頃の嗜好をそのまま信じ切っているというのも不自然ではないだろうか?
身体や考え方などは、どんどん変化しているのに。
何年にも渡って続けてきたその頑なな行為は、
長く生きて出合う献立の幅が広がっている分、食べられない献立をも異常に増やしているハズだ。
べつに私、どなた様にも説教させていただくような立場ではないから、好き嫌いを直せとは決して言わない。
でもたぶん、やってみれば楽しいことだと思うのだ。
だからぜひ、お勧めしたい。
苦手意識が増幅するより、楽しみが少しでも増えるほうがハッピーじゃないかな、と私は思う。
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